結婚は自分が好きになった相手とするものだ。日本もそうかもしれないが、中国では相手の「家」と結婚するという意味合いもある。中国は「家」のつながりが強く、何かあったら互いに助け合う。たとえば、親戚の子どもの就職や結婚の相談もよくされる。自分が旅行に行くと親戚に知られたら、微信(WeChat。中国の無料メッセージ・アプリ)を通じて買ってきてほしい物をリクエストされることはよくある。

 結婚すると、たとえば、旧暦の大晦日はどちらの家に帰って春節を迎えるかという問題が出てくる。親からすれば子ども夫婦が自分の家で春節を迎えてほしいと思うが、体は1つしかない。このことは親のメンツにもかかわるので、もめごとに発展しやすい。

 不必要なもめごとを避けるために、それぞれの家で春節を迎える夫婦もある。ただ、夫婦そろってどちらかの両親の家に行くことは、相手に敬意を払っているということになる。だから、「今年は妻の実家、来年は夫の実家で過ごす」と決めている夫婦もある。

 さらに、子どもができると、自分か相手の両親に子どもの面倒を見てもらうことが多くなるので、教育に色々口出しされる。自分たちは仕事で子どもの学校への送り迎えなどができず、親を頼りにするしかないので、機嫌を損ねないようにするしかない。相手の親に面倒を見てもらっている場合、ストレスはさらに倍増し、夫婦喧嘩に発展しやすい。ここに挙げた例は一部だが、結婚すると親戚との関係でストレスを感じることが多くなる。

将来はどうなるかわからない、
未婚だって恥ずかしくない

 こうした理由から、おひとり様が増えているのだが、前出のYさんのように自由な生活を好むおひとり様は、「今を楽しむ」「今はとにかく仕事を頑張る」と考えているのではないだろうか。筆者の友人のWさん(30代・女性)は「結婚したくないわけではありません。今は仕事があるので」と語る。結婚には「先立つもの」がいるので、十分な収入を得てからのほうが生活上のストレスは少ない。

 今は昔と違い、すべてが保障されている時代ではなく、将来はどうなるかわからない。そういう“不確実”な時代だから、「とにかく今を楽しんで、後のことはそのとき考える」という楽天的な考え方や、「若いうちにキャリアを積んでおく」という積極的な考え方が出てくる。それがおひとり様の増加の一因だが、今は人々の考え方が多様化しており、「結婚していないことは恥ずかしくない」というムードが社会にあることも大きい。

 おひとり様と結婚している人とでは、消費のスタイルが違う。結婚すると、どうしても家族のことを考え、少しでも節約しようとする。買い物の決定権は往々にして“奥さん”にある。それに対し、おひとり様は自分で自由にお金を遣うことができるので、個人の楽しみのために金を使う傾向にある。それに伴い、おひとり様に向けた消費もどんどん出てきている。