運転再開時に大混乱
計画運休の大きな課題

 しかし、課題は計画運休の事前告知だけにあるわけではない。2年連続の混乱から、計画運休の「限界」も見えてきた。

 そもそも計画運休とは、列車運休時の混乱を防止するための手法である。安全確保を目的とした従来の運休は、主に強風や大雨の規制値を基準として行われるが、規制値に達するギリギリまで運行を続けると、帰宅難民が発生したり、駅間に停止した列車の救助が必要になるなど、二次被害が生じかねない。そこで規制値に達する前に計画的に運行を取りやめて、やり過ごそうというものである。

 では運転の再開はどうか。一般的には台風通過後、風速や雨量が規制値を下回ってから安全確認を開始し、設備や線路上の安全を確認次第、運転を再開する。これは計画運休においても基本的には同様だが、その結果、首都圏では2年連続で混乱が生じてしまったのである。関西に比べて鉄道利用者数が多く、並行路線が少ない首都圏鉄道網の特性が影響した部分が少なくないかもしれないが、これまで見過ごされていた課題が顕在化した結果とも言えるだろう。

 これまで主にJR西日本が実施してきた計画運休は、終電を繰り上げて営業を終了し、翌日の始発からは通常通り運転が再開されるケースが多かったため、運転再開の手法がクローズアップされることは少なかった。だが、週明け月曜日の始発から運転を見合わせる事態となれば、ホームや駅に運転再開を待つ乗客の長蛇の列ができ、大混乱が起きるのは必然である。運転再開時に一斉に乗客が押し寄せる問題は、今後、どの地域でも起こりうる「計画運休の弱点」となる。

 しかし、これは鉄道会社の努力でどうにかなる問題ではないのが実情だ。2015年に行われた大都市交通センサスによれば、鉄道で東京23区に到着する通勤・通学定期券の利用者数は1日あたり約514万人。うち神奈川から約89万人、埼玉から約82万人、千葉から約68万人、東京都多摩部から約61万人が県を越えて移動している。何百万人が毎日、数十キロもの距離を電車で移動するために、首都圏には多くの鉄道路線があり、長い編成の列車が高頻度で運行している。それでも平均混雑率150%以上の混雑が生じている。