主な症状は息切れ、せき、たんで、風邪の症状とよく似ている上に、息切れは安易に「年のせい」にされがちだ。しかも一緒に起きてくる症状は動脈硬化、高血圧、骨粗しょう症、うつ病、肺炎など幅広いため、COPDの存在を見えづらくしてしまう。

「医者や周囲から『もう年だから』と言われたら、患者さんとしては納得せざるを得ませんよね。ああそうなんだと。風邪にしてもそうです。しかも風邪という病気は非常に不思議な病気で、せきとたん、喉が痛いぐらいの症状があると、患者さんが自分で診断名をつけてくる。『風邪ひきました』って。そんな病気ってほかにないでしょ(笑)。

 だから学生には、『患者さんが風邪だと言ってきても、君たちは風邪だと思ってはいけないよ』と教えてきました。ありふれた症状から本当の原因を絞り込む、それが診断するということです」

患者さんにとって
最初で最後の医師になりたい

 COPDは呼吸器内科における高齢者の代表的な病気で患者数も多いが、若手医師は、あまり勉強したがらないという。

「高齢者の病気は手もかかるし、大変ですからね。病気って、若いときは割合シンプルだけど、高齢になるとほかの病気も加わって間口が広がり、非常に複雑になってしまうのです。呼吸器だけでなく、心臓も肝臓も同時にあちこち悪いということが普通にあるので、オールラウンドな知識が必要になる」

 診断するにあたって、最も大切にしているのは、患者の話を聞くことだ。それにはコツもある。

「病気を診る人診られる人という立場ではなく、まずは十分な接点を持てないと、病気の本当のところは聞きだせないし、分からないと思います。一番いいのは仕事の話を聞くことですね。今までどういうことをやってきたのか、今どんなことをやっているのか、何が悩みで、ずっとこのまま仕事を続けるのか、など。接点を持つには、最適な話題だと思いますね。お互い分かりあえるような気がします。診断は、話をきちっと聞けば7割がたつく。診察は確認のため。検査は結果が患者さんの訴えと合うかどうかに着目します」

 多くの医師は、検査結果を診断の根拠にするが、木田先生はうのみにしない。