大使時代は「国連軽視」
イラン経済制裁を継続

 その後、国連大使になったが、「国連軽視」の姿勢が際立った。

「国連などというものはない。あるのは国際社会であり、それは唯一の超大国である米国によって率いられる」とか「国連本部の10階以上(事務総長室などがある)がなくなっても困ることはない」など傲慢不遜で他国があきれるような発言が多く、礼儀を重んじる外交官には不適だった。

 オバマ大統領の広島訪問を「恥ずべき謝罪の旅」と非難、原爆投下を「トルーマン大統領の勇断」と評価した。

 こんな人物をトランプ氏は安全保障担当の大統領補佐官にしたから、その進言は安全保障どころか戦争推進に向かうのは当然だ。

 イランの核開発を大幅に制約する見返りに経済制裁を解除する「イラン核合意」は、米・露・英・仏・中・独の6ヵ国とイランが2015年7月14日に調印し、同月20日、国連安全保障理事会は決議2231でこれを承認した。安保理はすべての国連加盟国がその履行に協力するよう求めた。

 その後、IAEA(国際原子力機関)はイランの核施設の査察を行い2016年1月16日、イランが核合意を完全に履行していることを確認した。

 これにより経済制裁は解除されるはずだったが、トランプ政権は2018年5月8日、イラン核合意からの離脱を宣言、経済制裁を続行した。

 他国も貿易決済は米国の金融機関を経由することが多いから、イランとの貿易を再開しにくく、実質的には広範囲の経済制裁が続くことになった。

 だが米国の行動は安保理決議に逆らい、国連憲章第25条(安保理決議は法的拘束力を持つ)に違反する。

 米国大統領への安全保障政策の指南役が国連を軽侮し、「国際社会は米国に率いられる」と公言するのだから、米国は安保理決議を無視するのも平気で、世界の独裁者であるかのように振る舞うこととなった。

唯我独尊の対外政策で
米国の孤立を深める

 冷戦時代なら米国が同盟国を「率いる」ことがある程度可能だったが「東側陣営」が消えたから、「西側陣営」も形骸化している。