高まる中国系のプレゼンス
契機は「環境・省エネ対策」

 バンコクの路線バスは、過去40数年の歴史の中で、一部ディーゼル車をCNG(天然ガス)車に切り替える動きもあったが、近年、タイ政府が環境・省エネ対策に本腰を入れるのに伴い、BMTAも従来の路線バスを環境負荷の低い車両に入れ替える計画を推進している。この時代の変わり目に入り込んできたのが、中国のバスメーカーだ。

バンコクを走る“奇跡”の路線バス、象徴するのは日本の「強さ」か「斜陽」か猛追する中国メーカーの路線バス

 バンコクの路線バスに中国メーカーのCNGの新車両がみられるようになったのは3年ほど前からだ。水色の車体に「BLK」のエンブレムは江西凱馬百路佳客車有限公司が、黄色のボディの「SUNLONG」は上海申龍客車有限公司が納車したものであり、いずれも中国政府お墨付きの新エネルギー車である。

 上海申龍は2005年に上海で設立されたバスメーカーだが、わずか3年後の2008年にはタイに1300台を輸出。輸出台数では常に中国メーカートップ5に食い込む中国屈指の実力企業だ。同社はタイのチョンブリ県に年産1000台の組み立て工場を稼働させており、タイ国内で走る申龍製バスは現在5000台を数えるという。

 初の輸出を行った2008年、上海申龍の総経理(当時)・樊万順氏は中国メディアの取材に対し、こう伝えている。

「中国のバス車両は質の高いエンジンを使い、タイの気候に合わせてエアコンの性能も強化した。価格も合理的で、タイ国民も大気汚染の改善に貢献する当社車両を歓迎している」

 中国ブランドのバス車両は、今や世界に輸出されている。アジアはもとより、中東、アフリカ、欧州、近年は日本にも輸出されるようになった。外資との合弁で技術導入を始めたのは80~90年代だが、2000年代には自主ブランド、自主設計と国産化を進めた。中国のシンクタンク「前瞻産業研究院」によれば、今や世界市場の上位10企業のうち4社が中国メーカーで、世界の製造販売台数のうち49%を中国メーカーが占めるという。国内では、水素バスの量産体制の構築を急いでいる。