8月30日、警察による一時拘束から保釈された後に報道陣の取材に答える香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏(左)と黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏 Photo:Anthony Kwan/gettyimages

「逃亡犯条例」改正案を巡る訂正
実は撤回されていなかった

 最初に、重要なことを指摘しておきたい。この連載では、「9月4日に香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が、『逃亡犯条例』改正案を正式に撤回した」と紹介した。しかし、香港在住の読者から、「条例改正案はまだ撤回されていない」との指摘を受けたので、訂正をさせていただいた(本連載第220回・P.1)。

 周庭(アグネス・チョウ)さんがツイッターで「条例改正案はまだ撤回されていない」と説明している。ラム長官は、「改正案を撤回する動議を香港立法会に提案する」と宣言しただけだ。つまり、香港立法会が再開したら、長官が改正案の撤回を提出し、その後立法会議員によって審議されて、最終的に投票の結果で撤回するかどうかが決定されるというのだ。

 正直、これは筆者などの海外の学者、そして海外のメディアには分かりづらいことだった。だから、日本、そして海外のメディアは一斉に「ラム長官が改正案を撤回」と報じていた。ラム長官の言葉の意味するところをアグネスさんが見抜いたのは、アグネスさんが香港衆志(デモシスト)という政党の幹部であり、香港立法会の意思決定の仕組みを熟知していたからだ。