ウォール街の新たな王者、インデックスファンドバンガード・グループのトレーディングフロア(米ペンシルベニア州マルバーン) Photo:Ryan Collerd for The Wall Street Journal

 株式市場をまねる運用会社がファンド業界の新たな巨人となった。

 米調査会社のモーニングスターによると、広範な米株価指数への連動を目指すインデックスファンドの資産額は8月末時点で4兆2700億ドル(約461兆円)と、月次報告ベースで初めてアクティブファンド(4兆2500億ドル)を上回った。

 この逆転は、金融市場史で最も劇的な変化の1つだ。過去10年には、米株市場をまねる投資信託・上場投資信託(ETF)に約1兆3600億ドルが純流入した一方、コストが高いアクティブ投信・ETFから約1兆3200億ドルが純流出した。

 こうした変化で個人投資家の投資コストは下がり、銘柄選択者の影響は低下。ウォール街ではアウトサイダーだった一握りの会社が、業界で最も強力なブローカーになった。

 今では、ブラックロック、バンガード・グループ、ステート・ストリートといったインデックスファンド大手が米ビジネス界に相当な影響力を行使。企業の取締役の選定から諸問題に対する企業幹部の対応まで、あらゆることについて決定的な票を投じることができる。

 一部では、インデックスファンドの興隆が株価をゆがめ、市場の乱高下を招くと懸念する声も出ている。だが、インデックスファンド大手は、こうした批判が単に恐怖をあおっているだけだとして一笑に付す。