投資の世界では珍しくない
プロより成績の良い素人

投資の世界では、しばしばプロを凌ぐ成績を出す素人が存在します
投資の世界の素人には、プロにはない意外なアドバンテージがある Photo:PIXTA

 筆者は証券会社で長らく仕事をしてきたので、その間、相当な数の個人投資家を見てきた。そんな個人投資家の中には、驚くほど高いパフォーマンスを上げた人もたくさんいる。

 投資の手法は様々で、短期売買を繰り返す人や、優良銘柄の株を長期に保有することで大きな財産を築いた人など、これだけが絶対に正しいという方法はない。ただ、投資のプロと思われる人達が運用する投資信託よりも、素人である個人投資家が運用する方がはるかに高い収益を生み出しているケースは、決して珍しくないのだ。

 これはプロがだらしないのだろうか?彼らは運用が下手なのだろうか?実を言うと、そういうことではない。投資の世界において、アマがプロに勝つことができる理由が存在するのだ。それは一体どういう理由なのかを考えてみたい。

 普通、どの世界でもプロというのは大変な実力を持っている。例えば将棋の世界では、どんなに頑張ってもアマはプロに勝てないのが普通だろう。ところが野球では、たまにアマがプロに勝つこともある。これはチームプレイであるために、メンバーの誰かが体調不良であったり、全体のバランスやコンビネーションが崩れることもあったりするからだ。さらにそれに加えて、グラウンドコンディションや風の状態といった、自然現象による偶然の要素も作用する。

 つまり、偶然が左右する要素が多ければ多いほど、プロとアマの差は小さくなるということだ。

 投資の世界はどうだろう。プロの投資家達は、素人の投資家と比較すれば常に勝つことができるのかと言うと、決してそういうわけではない。ここで言う投資のプロとは、一般的に機関投資家やファンドマネージャーのように、日常的に人のお金を預かって運用し、収益を上げることを目的としている人達を指す。知識や情報をあまり持たない投資初心者の多くは、「自分達はアマだから投資のプロには勝てるわけがない」と思っている。これは心理学で言う、「権威付け効果」によって“プロ=運用が上手”と思い込んでしまっている人が多いからだ。

 ところが、必ずしもそうではなく、冒頭に述べたように素人の投資家でもプロを上回る成績を上げる人はいくらでもいる。マーケットというものはきわめて不確実なもので、予想を的確に当て続けていくのは至難の技だ。したがって、運用成績というものは運用の技術以上に、マーケット自体の良し悪しに大きく左右されるところが大きい。つまり投資の世界はかなりの部分、偶然が左右する世界だということだ。