昼食を終えて事務所に戻るとすぐに、高橋は講義を再開した。
それでは、3つ目の財務諸表であるキャッシュフロー計算書の説明をしよう。これは文字どおり、キャッシュつまりカネのフロー、流れ(出入り)を示したものだ。
3つに分類されている。表のいちばん上の(1)「営業活動によるキャッシュフロー」から見ていこう。これは本業で、どれだけのカネが企業内に出入りしたかを示す。計算方法は2種類あるが、ここでは一つだけ説明する。
最上段に、当期利益。売り上げからさまざまな費用を引いて最終的に残った利益だ。これを算出する過程で、減価償却費も一費用として差し引いている。しかし、実際にはそのぶんのカネが企業外に出ていくわけではない。キャッシュフロー計算書では、現実にカネが企業内にいくらあるかを示すものだから、ここでは当期利益に加算するんだ。