社員の平均年齢は32歳
――社員の年齢がかなり若いですね。しかも仲がよさそう。平均年齢はいくつくらいですか？
能作：32歳です。
――若い！ とても町工場とは思えません！ 社長として彼らを動かすのは大変ではないですか？
能作：最初は大変でしたが、徐々に対話をしながらですね。
「とにかく、やれ！」では人は動きません。
「何のためにやるのかわからない」とき、人は気力を失います。
一方で、「自分は意味のあることをしている」と気づいて納得できれば、人は自分から動くようになります。
――たしかにそうですね。
能作：「新社屋ができたことによって、社員のプライドや士気が上がった」と感じているのは僕だけではありません。
そう言えば、ある社員は『踊る町工場』の中でこんなことを言っていました。
「見学者が増えたことで、社員の意識も変わった気がします。
日々多くのお客様と接することで、『自分たちはこの会社の社員なんだ』と実感する場面が多くなり、職人さんも、事務方のメンバーも、ショップのみんなも、今まで以上に、やる気やプライドを持てるようになったと思います」
――素晴らしい社員がいるのですね。勉強になります。
能作：ありがとうございます。富山の本社の雰囲気を少しでも知りたい方は、第1回連載もご覧いただけたらと思います。
能作克治（のうさく・かつじ） 株式会社能作 代表取締役社長1958年、福井県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒。大手新聞社のカメラマンを経て1984年、能作入社。未知なる鋳物現場で18年働く。2002年、株式会社能作代表取締役社長に就任。世界初の「錫100%」の鋳物製造を開始。2017年、13億円の売上のときに16億円を投資し本社屋を新設。2019年、年間12万人の見学者を記録。社長就任時と比較し、社員15倍、見学者数300倍、売上10倍、8年連続10%成長を、営業部なし、社員教育なしで達成。地域と共存共栄しながら利益を上げ続ける仕組みが話題となり、『カンブリア宮殿』（テレビ東京系）など各種メディアで話題となる。これまで見たことがない世界初の錫100%の「曲がる食器」など、能作ならではの斬新な商品群が、大手百貨店や各界のデザイナーなどからも高く評価される。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員会特別賞、第1回「三井ゴールデン匠賞」グランプリ、日本鋳造工学会 第1回Castings of the Yearなどを受賞。2016年、藍綬褒章受章。日本橋三越、パレスホテル東京、松屋銀座、コレド室町テラス、ジェイアール 名古屋タカシマヤ、阪急うめだ、大丸心斎橋、大丸神戸、福岡三越、博多阪急、マリエとやま、富山大和などに直営店（2019年9月現在）。1916年創業、従業員160名、国内13・海外3店舗（ニューヨーク、台湾、バンコク）。2019年9月、東京・日本橋に本社を除くと初の路面店（コレド室町テラス店、23坪）がオープン。新社屋は、日本サインデザイン大賞（経済産業大臣賞）、日本インテリアデザイナー協会AWARD大賞、Lighting Design Awards 2019 Workplace Project of the Year（イギリス）、DSA日本空間デザイン賞 銀賞（一般社団法人日本空間デザイン協会）、JCDデザインアワードBEST100（一般社団法人日本商環境デザイン協会）など数々のデザイン賞を受賞。デザイン業界からも注目を集めている。本書が初の著書。
【能作ホームページ】 www.nousaku.co.jp
