これは、韓国の雇用・所得環境を悪化させる主な要因の一つだ。加えて、韓国では家計の債務が増加傾向にある。住宅市場ではソウルをはじめ都市部の住宅価格が上昇基調を維持する一方、地方の住宅価格は下落している。所得環境が悪化するに伴い、家計の信用力は低下し、不良債権が増加する恐れがある。

 このように考えると、韓国銀行(中央銀行)は追加利下げを行わざるを得ないだろう。利下げによって一時的な効果はあるだろうが、足もとの政策金利水準は1.50%と歴史的に低い。金融政策に頼って韓国が景気の安定を目指すことはかなり難しいといわざるを得ないだろう。

経済運営に
目を向けない文大統領

 輸出が鈍化し国内の設備投資が落ち込む状況が続くと、韓国経済はさらなるデフレ懸念の高まりに直面するだろう。その展開を回避するには、韓国政府がどのような経済政策を進めるかが決定的に重要となる。

 それは、1990年代以降の、わが国の経験を振り返るとよくわかる。

 1990年代初頭、日本は“資産バブル”が崩壊した。景気が急速に落ち込む中、1997年、わが国では“金融システム不安”が発生し、大手金融機関を中心に不良債権問題が深刻化した。

 それでも政府は不良債権の処理や、構造改革を先送りし、すでに整備が一巡したインフラ投資などを行うことで、景気の浮揚を目指した。その結果、日本経済は、“失われた30年”などと呼ばれる長期の停滞に陥ってしまった。

 現在の韓国経済は、こうした状況に向かいつつあるように見える。韓国が経済の長期停滞リスクを回避するためには、政府の役割発揮が求められる。