そのとき、奥の部屋のドアが開き、村津が出てきた。手にコートを持っている。

「切ります。後は独自に取材してください」

 森嶋はそのまま携帯電話を切り、マナーモードにしてポケットに入れた。

 優美子が森嶋の方をちらちら見ている。

「森嶋君、ついて来てくれ」

 村津は森嶋の前を通るときに言って、そのままドアの方に歩いていく。

 森嶋は慌てて立ち上がり、コートを持って村津の後を追った。

 部屋中の視線が追ってくる。優美子が露骨に森嶋に向かって眉を吊り上げて見せた。またあなたなの、目が言っている。

 村津のやり方がいいとは思わないが、好奇心が先に立って何も言えない。村津の指示に従うのみだ。しかし首都模型については、チーム全体が共有しておいた方がいいとは思う。

 役所を出ると道路を隔てたところに、黒塗りの大型セダンが停まっている。村津は森嶋を急がせて車まで行った。車にはすでに男が乗っている。

「お待たせしました、殿塚先生」

 村津が乗り込んで言った。

 車はすぐに走り始め、10分後には首都高速を北に向かって走っていた。

(つづく)

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