
バタフライ効果
高嶋哲夫
首都移転計画は国会審議も終わり正式に認められた。森嶋と村津は移転先の吉備高原を視察する。すべてが順調過ぎる――。森嶋はここ数ヵ月抱いていた…
2012.8.31
この国に住み続ける限り、巨大地震は必ずくる。もし巨大地震が東京を襲ったら、首都機能は完全に麻痺し、政治と経済がストップ。その損失額は110兆円にもおよび、日本発の世界恐慌にまで至るかもしれない――。今後、日本が取るべき道は何か。その答えを探る連載経済小説。
高嶋哲夫
首都移転計画は国会審議も終わり正式に認められた。森嶋と村津は移転先の吉備高原を視察する。すべてが順調過ぎる――。森嶋はここ数ヵ月抱いていた…
2012.8.31
高嶋哲夫
首都移転チームの全員が全国を飛び回り、首都移転説明会が開かれた。ひと月もしない間に、吉備高原が新首都予定地として定着していった。同時に道州…
2012.8.29
高嶋哲夫
翌日、首都移転チームは移転先候補の話題で持ちきりだった。その日の午後、インターナショナル・リンクの新しい発表が予定されていた。全員の目がテ…
2012.8.27
高嶋哲夫
森嶋、村津、優美子、ロバートの4人は、ダラスの部屋を訪ねた。ダラスは森嶋たちをスタッフが働く隣室に案内する。村津は彼らに首都移転の詳細を説…
2012.8.24
高嶋哲夫
地震を境に、世論の流れは大きく変わった。早く移転すべきだという賛成派が著しく増えたのだ。地震から数日後、森嶋は優美子から話があると外へ連れ…
2012.8.22
高嶋哲夫
総理の発表会見から1週間がすぎた。首都移転反対のデモは激しさを増していた。昼休み、森嶋と優美子は官邸を取り巻くデモを見に行った。マイクを持…
2012.8.20
高嶋哲夫
総理の発表演説とマスコミとの会見により、日本の首都移転計画はその日のうちに日本はもとより、世界中に広まった。村津は午後には国交省に帰ってき…
2012.8.17
高嶋哲夫
総理は朝5時前に起こされ、渡された新聞を見て凍りついた。〈政府、首都移転を計画〉という見出しとともに新首都模型の写真が載っていたのだ。朝の…
2012.8.10
高嶋哲夫
森嶋が7時すぎに国交省に行くと、すでに半数以上の者が集まっていた。問い合わせの電話が次々とかかってくる。優美子は森嶋がスクープ記事と何らか…
2012.8.8
高嶋哲夫
高脇の電話は途中で切れた。森嶋が自宅に帰ろうとすると今度は理沙から電話が。15分以内に行くという。理沙はタクシーでやって来た。理沙は「日本…
2012.8.6
高嶋哲夫
総理と官房長官、村津らは車で六本木に向かった。新首都の模型を総理に見てもらうためだ。長谷川は総理に会議室に入るよう促す。中央には白い紙で造…
2012.8.3
高嶋哲夫
〈5年以内の発生率は92パーセント以上〉――。京コンピュータが弾き出したシミュレーション結果の会見をテレビで見た総理は、首都移転の時期を大…
2012.8.1
高嶋哲夫
長谷川は首都移転グループ全員に対して、この都市模型は一つの案であることを強調した。2時間ほど話して長谷川たちは帰った。説明が終わり、森嶋と…
2012.7.30
高嶋哲夫
村津は新首都の全容について、グループ全員に公表するという。森嶋は国交省への模型の搬入を手伝う。会議室には首都移転グループ全員が集まっていた…
2012.7.27
高嶋哲夫
殿塚、村津、森嶋の3人はユニバ研究所をあとにした。殿塚と別れた後、村津は迷いのない口調で森嶋に言った。「首都移転は政治家に任せておけない。…
2012.7.25
高嶋哲夫
目的地は株式会社ユニバの中央研究所だった。車が止まると、ユニバの玉井社長が出てきた。その隣には見覚えのある男が2人。1人はNTCの船山社長…
2012.7.23
高嶋哲夫
メガバンクの頭取たちは、それぞれ言いたいことを言って帰った。総理はぐったりと椅子に座りこんだ。日本破綻を避けるためには、何か具体的な指示を…
2012.7.20
高嶋哲夫
翌朝、森嶋が起きるとテレビのワイドショーはインターネットに流れた地震と富士山噴火の話題で持ちきりだった。一方、能田総理はサイバーテロ対策に…
2012.7.18
高嶋哲夫
村津と殿塚が長谷川の事務所にやってきた。ダラスは殿塚のことを野党の重鎮として知っているようだった。村津はダラスに流暢な英語で首都移転につい…
2012.7.13
高嶋哲夫
森嶋はダラスと理沙をタクシーに乗せ長谷川の事務所に向かった。新首都の模型をダラスに見せるためだ。ロビーでは長谷川と早苗が待っていた。すると…
2012.7.11