一方で、ファミマは店舗数を抑制してきた。これは澤田社長の方針もあるが、むしろCKSとの合併で不採算店の大規模な閉店を強いられたことが大きい。

 SEJは1000店の閉鎖と立地移転の方針も発表したが、これは純減ではなく、既存店の立地を見直す「ビルドアンドスクラップ」が中心であり、現状の全国約2万1000店の規模は、少なくとも維持する方針とみられる。

 とはいえ、飽和と言わざるを得ない現象はすでに、店舗の売り上げ構成に表れている。

 18年3月以降の月別の既存店売上高と客単価の増減の推移を大手3社別に見ると、特に19年に入ってからは客単価がやや増えているのに対し、売上高は横ばいだ。例年にない冷夏だった7月以外でも前年を下回る月がある。

 なぜか。客数が下落傾向にあるからだ。そこで3社が注力しているのは、主婦層や働く女性をターゲットとした、単価が高く日持ちのする冷凍食品やパウチ入り総菜である。客単価を引き上げることで、なんとか売上高を維持している状態だ。

 いわゆる中食マーケットに挑んでいるわけだが、ここは店内調理を強化する食品スーパーや外食の持ち帰りサービスと競合する激戦区だ。軽減税率を適用されるとはいえ、消費増税による消費全体の落ち込みの影響とも無縁ではない。コンビニ以外の競合とぶつかるため、かつてのような「拡大均衡」は難しい。

 さらに24時間営業の是非など、加盟店負担に関する世論の批判や政府の方針もある。そこでSEJが仕掛けたのが、特に低収益の店舗が24時間営業を行う場合に、ロイヤルティーを軽減する制度だ。

 加盟店は従来、毎月の粗利額に応じて、累進的に56~76%をロイヤルティーとして本部に支払う。ここから経過年数に応じて料率を減らしていく。加えて24時間営業をする加盟店は料率が2%減額となるうえ、17年9月から「特別減額」としてさらに1%、料率を引き下げた。

24時間なら月20万円、時短なら7万円を減額
やっぱり見えた24時間を死守したいセブンの姿勢

 SEJは今回、20年3月以降、24時間営業をしていて月の粗利額が550万円以下と低収益の加盟店につき、料率ではなく月額20万円と“実費”でロイヤルティーを減額する。ただし、上述の24時間営業に対する2%と特別減額の1%の軽減はなくなる。550万円以上の加盟店はこれらの減額は残るが、追加のロイヤルティー減額は月額3万5000円にとどまる。

 さらに24時間営業をしない加盟店の場合は、粗利額が550万円以上なら特別減額の1%に加えて月額1万5000円、550万円以下なら同様に1%の特別減額がなくなる代わりに7万円の減額となる。減額とはなるが、その幅は24時間営業店舗と比べて圧倒的に小さい。

 今回の支援策で本部の負担は100億円増加する見通し。19年2月期通期で国内加盟店から得たロイヤルティー収入の合計が7739億円なので、約1.3%が加盟店に“還元”されることになる。

 時短営業を主張する加盟店は、夜間の人件費が浮くため、売り上げが下がってもコストが減って利益が増えると主張してきた。ただ本部による今回の“ルールチェンジ”で、状況が変わる可能性がある。

 同社が7~8月に加盟店向けに実施したアンケートでは、回答した約1万8000のオーナーのうち15%が時短営業を検討していると回答した。だが今回の‟支援策”によって、本部は「24時間営業への支援を手厚くしている」との大義名分を主張しやすくなる半面、コンビニのオーナーや従業員の働き方を見直そうとの機運が削がれる可能性がある。

 片やローソンは、20年の元日に100店を休業させると発表した程度で、抜本策を採る姿勢は見えない。ファミマは全国で600店超が参加する深夜閉店の実験を10月からスタートさせる。ロイヤルティーの料率見直しの有無などは、この結果を見て判断するとみられる。

 大手3社の激しい競争の中、どこかが24時間の看板を下ろせば、加盟店からのロイヤルティー収入が減り、その売上を競合の他者に奪われる――。世論と加盟店、そして経済産業省や公正取引委員会など政府機関の動向をにらんだチキンレースは、混迷を深めている。

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