千葉県に大規模停電を引き起こすなど、甚大な被害をもたらした台風15号。その傷も癒えないというのに、再び、日本列島は台風の猛威にさらされることになった。
大型で非常に強い台風19号は、10月12日19時前に伊豆半島に上陸したあと、関東地方を通過。東北地方に進路を進め、13日昼頃、日本の東の海上で温帯低気圧に変わった。
台風の接近に伴い、12日は西日本から東日本の太平洋側に非常に激しい雨が降り、関東・東北地方の1都11県で大雨特別警報が発令された。猛烈な雨は河川に流れこみ、堤防の決壊や大規模浸水、土砂災害などを引き起こし、尊い命も奪われた。
10月17日時点で、台風19号による人的被害は、死者77名、行方不明者10名。重軽傷者も300名を超えている。浸水や全半壊による住宅への被害のほか、停電、断水が続く地域も多く、日本列島に大きな爪痕を残すことになった。
大きな災害が起こると、ケガをしたり、病気になったりして医療を必要とする人が多くなるが、避難時は命を守ることに精いっぱいで、健康保険証など医療を受けるのに必要なものを持ち出せないこともある。
だが、災害時は医療体制も特別措置がとられるので、体調が悪い人は我慢することなく病院や診療所を受診してほしい。
災害時は健康保険証を紛失しても
通常の自己負担金で医療を受けられる
ふだん、病院や診療所に行くと、受付で必ず健康保険証の提示を求められる。これは、医療費の請求先を確認するためで、医療機関は保険証で確認した健康保険組合に対して、後日、患者が使った医療費を請求している。
患者が病院や診療所の窓口で、年齢や所得に応じて1~3割の自己負担分を支払えば、必要な医療を受けられるのは健康保険証のおかげだ。
旅先や突然の事故などで保険証を持たずに受診すると、医療費の全額(10割)が患者に請求されるのは、請求先が確認できないからで、こうしたケースでは、後日、患者自らが健康保険組合に対して、自己負担分を除く医療費の還付請求をしなければならない。
これが通常の医療費の仕組みだが、大きな災害が起きたときは、健康保険証や所持金を持ち出せないことを考慮して、被災した人が医療機関や保険薬局を利用できる特別措置がとられることになっている。