9月の台風15号に続いて本州に上陸した台風19号は、猛烈な風雨で大きな被害をもたらした。強い台風や爆弾低気圧などの「風水害に強い家」とは、どんな家なのだろうか?(さくら事務所会長 長嶋 修)
相次ぐ地震や風水害で
関心高まる「災害に強い家」
強い勢力の台風上陸や大雨に見舞われることの多い日本列島。地球温暖化の影響とも言われているが、こうした傾向から近年、住宅を購入予定の方からホームインスペクション(住宅診断)の依頼が増えている。地震も含め、「あらゆる災害に強い家」へのニーズが高まっているのだ。
9月に千葉県を中心に甚大な被害をもたらした台風15号襲来の1週間後、某テレビ局の取材で千葉県館山市を訪れた。自治体の被害認定調査員に同行して、大きな被害を受けた住宅を回ったのだ。
被害に遭った多くの住宅に共通していたのは、まず「昔ながらの屋根瓦の家」であること。近年主流のスレート瓦は隙間がなく、軽いために空気抵抗も少ない。一方、昔ながらの屋根瓦は飛びやすい。古いタイプの屋根瓦の家が密集している地域では、近隣から屋根瓦が飛んできて壁や窓が壊れるという被害の連鎖が起きていた。
たかが瓦と侮るなかれ。窓ガラスが割れるのは当然で、中には瓦が命中して、壁が壊れて大穴が開いたケースもあった。また、屋根に巨大な穴が開いて家の中に雨水が降り注いだ家もあった。周りを家に囲まれるなど風通しが悪い家の場合、台風からたった1週間でカビが発生し、背丈10センチものキノコが生えていた。持ち主は「もう住めないから解体する」とおっしゃっていたが、悪夢のような話である。
意外にも、築年数と被害状況はあまり関係ない様子だった。旧タイプの屋根瓦であれば、築浅であっても被害は大きかったのだ。
ちなみに、屋根瓦をスレートに変えるには、撤去と付け替え工事費込みで50~100万円が相場である。