けれども私は、「先生が『罰が必要だ』と考えるのであれば、それに従うしかないわよね」と答えました。園と学校は違うところですし、先生にも考えがあるでしょうから。

「でもね、お母さんはかならずタカちゃんにこう伝えてあげてね。『ママは、タカちゃんのその優しい気持ちが大好きだよ』って」

 私がそう言うと、タカちゃんのお母さんは納得したように電話を切りました。

 タカちゃんのように、子どもが育つ上では理不尽さや不条理に戸惑うこともあるでしょう。怒ったり、落ち込んだり、ふさぎ込んだりする姿を見るのはつらいものです。そんなときは、「ママは、あなたのそういうところが好き」と伝えてあげる。

 もしかしたらその場にはふさわしい振る舞いではなかったかもしれないけれど、あなたのステキなところで、ママはそこが大好きだよって認めてあげるの。

 すると、「大好きなお母さんが好きでいてくれるならいいや」って子どもは納得します。「ぼくはぼくのままでいいんだな」って。そんな安心感を得ることで、子どもの愛おしい長所を失わずに済むんじゃないかしら。きっとタカちゃんは、とても優しい大人になったと思いますよ。

何気ない「あなたはダメ」、
言ってませんか?

 子どもとのコミュニケーションで守りたい約束は、他にもあります。子どもは、元気がいちばんです。だから、保育士である私がなんとなく発した言葉や態度で、その元気をくじかないよう気をつけてきました。

 たとえば、「あなたはダメ」というメッセージ。正面切ってそんなことを言うお母さんはほとんどいないと思いますが、「あなたはこれが苦手だね」「あまり向いていないね」といったメッセージだと、どうでしょうか。何の気なしに口にしがちな言葉ですが、これも子どもにとっては「ダメ」の1つになります。

 子どもは、大好きなお母さんから受け取った「ダメ」のメッセージを信じます。そして心に刻み、元気をくじいてしまうのです。