これが伝統的な損益分岐点の公式
そう言うと川上は、ホワイトボードに損益分岐点の公式を書いた(下図表)。
「損益分岐点は、損益の分かれ目、損益がゼロになる売上のことです。つまり、売上高=変動費+固定費になる点です。この式を変形すると、『損益分岐売上高=固定費÷{1-(変動費÷売上高)}』になります。ちなみに、この公式自体は覚えなくていいですよ。もっと分かりやすいのを教えますので」
「はい。」早苗が相槌を打つ。
「では、いくら売上を上げれば、自分の会社の損益をトントンにすることができると思いますか?」
川上の問いかけに、早苗は、公式を当てはめて電卓で計算をした。
「えーっと。損益をゼロにするための売上は300円です!」
「そうだね。そこで、営業部員に目標売上を達成するように『手段は問わないから、とにかく売上300円を挙げてこい!』と檄(げき)を飛ばしました。営業部員たちはなんとか売上を増やすために、価格を25円から20円に下げて、低価格戦略で売上を増やしていきました。その努力の結果、目標売上の300円が達成できました! さて、これで損益がトントンになったはずですよね? これをMQ会計で検証してみましょうか」
川上はMQ会計表に数値を書き込んでいった。