売上が増えているのに、利益が減っている!?

 売価(P)が20円、売上(PQ)を達成するためには、販売数量(Q)はPQ300円÷P20円=Q15個だ。その結果、売上(PQ)は300円を達成しているのに、利益(G)は、損益が0になるどころか、▲45円とさらに減る結果となった(下図表)。

先輩! 損益分岐点が4つもあるって、本当ですか?

 (なんで? 損益ゼロになるんじゃないの? 売上が増えているのに利益が減っている……?)

 「ずいぶん、不思議そうな顔をしているね?」
 川上は早苗の様子を見て、楽しんでいるようだ。

 「……その公式が間違っているんですか?」

 「間違ってないよ。実は、この伝統的な損益分岐点の公式には『売価(P)を変えてはいけない』っていう大前提があるんだ。つまり、販売数量(Q)をもとめる公式だったんだよ」

 売価(P)を変えずに、数量(Q)が増えた場合、QはPQ÷Pをすれば求められる。PQ300円÷P25円=Q12個。Qが決まると、全体損益のVQ、MQもつられて数値が変化する。

 その結果、Qが増加した場合の利益(G)は0円と、公式のとおり損益がトントンになっていた(下図表)。

先輩! 損益分岐点が4つもあるって、本当ですか?