OODAループはアメリカ軍で世界の兵法や戦略理論を研究した成果をもとに開発され、シリコンバレーの起業家を中心に、アメリカのビジネスエリートに活用されるようになった思考法です。変化の激しい時代に速く的確に行動するために必要な知的技術と言えます。OODAループ第一人者の戦略コンサルタントが、日本人のためにわかりやすく、実践しやすいマニュアルとして解説したのが、『OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル』です。本書のウェブ版である本連載ではポイントだけを、よりコンパクトに紹介します。
速さの秘訣は「ショートカット」
「それで、結局どうすればOODAループ思考ができるんでしょうか?」
『OODAループ思考[入門]』という本を出して以来、以前にも増してそう聞かれることが増えました。そんな時「本を読んでいただければ……」という心の声はぐっと押し殺して、いつも私はこう答えます。
「いえ、みなさんもすでにOODAループ思考を実践しているはずです」と。
人は誰でも、何かを見て理解し、判断して行動し、その結果を見直します。つまり「みる」「わかる」「きめる」「うごく」「みなおす」という基本のプロセスそのものは、けっして特別なものではありません。OODAループを知っていようがいまいが、それらしき考え方は誰でもしている。それがOODAループ思考の1つの特徴です。
逆に言えば、誰もがやっている普通のプロセスなので、そのままではこの思考法の最大の強みである圧倒的な速さにはつながりません。では、どうすれば速さを手に入れられるのか。
そのカギは、ショートカットにあります。「みる」「わかる」「きめる」「うごく」「みなおす」のプロセスのうちのいくつかを、状況に応じて省略するのです。
そうすることで、従来とは比較にならないほど判断と行動が速くなり、致命的なミスを防いで、目的の実現に近づけるようになります。