国際原子力機関(IAEA)の新たな事務局長選びが、イランの核開発プログラムの影響で緊迫している。35カ国の理事会は28日、2人に絞られた候補者から選出を目指すが、イランへの対応を巡る相違もあり、合意に達する可能性は低いと外交関係者らは話す。候補の1人であるルーマニアのコーネル・フェルータ事務局長代行は、7月に死去した天野之弥前事務局長の方針を踏襲し、イランに対して慎重なアプローチを取るとみられる。一方、在ウィーン国際機関アルゼンチン代表部の元IAEA幹部ラファエル・グロッシ氏は「断固とした、それでいて公平」な取り組みを主張するなど、これまでの方針をやや変更する構えを見せている。2015年のイラン核合意が崩壊の危機にある中でIAEAがどのようにその役目を果たすのか、またこれまでの対応が十分に厳格だったかについて、主要加盟国の意見は割れている。