ウォーレン・アチュリーさん(59)は30年以上、メインフレーム(大型汎用機)のデータベース開発に携わっていた。今ではおおむね過去の遺物とみなされている技術だ。約3年前、自分の仕事が絶滅の危機にひんしていることを知った。アチュリーさんが勤務するトータル・システム・サービス(TSYS)はクレジットカードなどのキャッシュレス決済の処理を手掛ける世界最大手企業の1つ。将来に備え、基幹システムをメインフレームからクラウドへと移行した。それに伴い、高齢化する社員にもスキルの移行を要求した。アチュリーさんは学ぶことに貪欲だと自負しているが、それでも警戒感はあった。2017年、45歳以上が多くを占める約400人の同僚と共に経営陣との会議に出席し、そもそも自分は会社が求める再教育で得た知識を使用する機会は持てるのかと尋ねた。「それとも、私は老いぼれた牧羊犬のように、子犬が仕事を引き継ぐ準備ができたら、裏手に連れて行かれて頭を銃で撃ち抜かれるのか」
中高年の社員、いかに再教育するか
クラウド化で従業員のスキル移行に取り組んだ米企業の実例
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