ノルウェー最大のフィヨルドを見下ろす急斜面にブドウの木が整然と並んでいる。松の木が頭上にそびえ、霜で覆われたこの土地にビョルン・ベルグムさんのブドウ畑はある。米アラスカ州アンカレジと同じ北緯61度に位置するこの畑は、世界最北端で商業生産を行うワイン産地となる見込みだ。100年前から続く景色や伝統、ワイン醸造学の先入観を、地球温暖化が一変させている証しでもある。「間違いなく、気候変動はわれわれにとって良いことだった」とベルグムさんは話す。一方、伝統的なブドウ栽培地である欧州南部では、気温上昇に悩まされるワイン醸造業者が、間もなく北欧から新参者を迎えることになる。「おごりかもしれないが、彼らがフランスと同じレベルに達しているとは思えない」。南仏ボルドーの大手ワイナリー、シャトー・スミス・オー・ラフィットの共同オーナー、フロランス・カティアール氏はこう話す。
北欧でワイン本格生産、温暖化が後押し
欧州南部にある伝統的ワイン産地の気温が上昇するなか、ノルウェーも攻勢に
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