――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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ソニーは複数の前線で「ストリーミング戦争」を戦っている。動画からは撤退するが、ゲームや音楽では、ライバル勢をしのぐ好位置につけている。
ソニーが30日明らかにした第2四半期決算は、過去最高となった。だが実は、より興味深いニュースはその前日に発表されていた。ネット経由のテレビ視聴サービス「プレイステーション ヴュー(PS Vue)」を来年1月下旬に終了する方針を明らかにしたのだ。PS Vueでは、ケーブルテレビなどの料金を嫌って契約を打ち切る「コードカッター」を対象に、ケーブルや衛星放送の契約なしでテレビ番組を視聴できるサービスを提供していた。
だが、コンテンツ費用の増大が足かせとなっていたほか、「フールー(Hulu)」や「ユーチューブTV」などライバル勢との競争で後れをとっていた。また、ネットフリックスなどネット動画配信サービスの普及を背景に、顧客の好みも従来のケーブルテレビのバンドル(抱き合わせ)契約から変化。アップルや娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーも独自の動画配信サービスを開始するほか、ケーブルテレビ局HBOもサービスの刷新を図っている。同市場での優位性を持たないソニーにとって、敗北を認めることは賢明な判断だ。