ソニーが「何の会社かわからない」と言われ続ける強みと課題
ソニーの2019年度の経営方針説明会の内容は、「ソニーらしい」と思う人たちには納得できないものだったかもしれない Photo:DOL

経営方針説明会で考えた
「ソニーらしさ」とは何か

 ソニーの2019年度の経営方針説明会が行われた。エンタテインメント事業へのさらなるシフトを示唆した吉田憲一郎社長のプレゼンテーションは、エレキに力を入れるソニーを「ソニーらしい」と信じているソニーファンやステークホルダーにとっては、納得できないものであったかもしれない。

 しかし、「ソニーらしさ」「ソニーとは」といった話はスタティックに定義できるものではないのかもしれない。今回の説明会でも、吉田社長が「ソニーとは」について言及していたが、それは現時点における吉田ソニーの定義だという解釈をすべきだろう。

 ソニーが東京通信工業からソニーに社名変更をした際、メインバンクからは「『ソニー株式会社』では何の会社かわからない、せめて『ソニー電子』などにしないか」と言われ、創業者の一人である盛田昭夫氏は、「ソニーが将来、エレクトロニクスの会社であるとは限らない。現在の経営者が将来のソニーの可能性を狭めることはしたくない」との趣旨を述べ、現在のソニー株式会社という社名になったという。

 つまり、ソニーという会社は、「何をする会社かを定義しないことが定義」だったのだろう。既存のレコードビジネスを破壊したCBS・ソニーから始まるエンタテインメント事業もソニーらしさであるし、日本でがん保険を黎明期から売り始めた金融事業もまたソニーらしさである。何か新しいことを始めるのが、緩いソニーの定義なのだ。

 現在のソニーは、エレキ、エンタメ、金融コングロマリットの総合力で成り立つ組織と定義できるだろうし、将来はまた異なる姿になるかもしれない。そのダイナミックな定義の変化が、メタな(高次元的な)意味での「ソニーらしさ」なのだろう。

 今回の経営方針説明会で経営学的に評価できるのは、ゲームビジネスの将来について、不確実性の下での意思決定として、手本となるような方向性を示したことであろう。

 今後のゲームビジネスの方向性として示したのは2つ。1つめは、マイクロソフトとの協業として既報となっているクラウドゲーミングを進めていくこと。もう1つが、次世代プレイステーションのハードウェアの強化だ。