FRB(米連邦準備制度理事会)は、10月30日に7月、9月に続く3会合連続の利下げに踏み切った。12月との声もあった3回目の利下げは、市場の混乱を避ける配慮からとみられる。一方、FOMC(米連邦公開市場委員会)は一枚岩ではなく、利上げ反対派を抱えている。声明文には当面の利下げ打ち止めを示唆する文言が盛り込まれた。双方へ配慮した苦労が伺えるFOMCだった。
(ダイヤモンド編集部 編集委員 竹田孝洋)
12月ではなく10月に利下げ
理由を答えられなかったパウエル議長
10月30日のFOMCで、政策金利であるFFレートの誘導目標の0.25%引き下げが決定された。7月、9月に続く3会合連続の利下げであり、累計の利下げ幅は0.75%となった。
今回の利下げ決定の背景とFOMCの声明文からは、利下げを織り込んだ市場とFOMC内の利下げ反対派・消極派の双方へ配慮した苦労の跡がうかがえる。
FOMC後の記者会見でFRBのパウエル議長は、12月ではなくこの10月に利下げをした理由を問われた。
議長の答えは、「私は今回の動きが正しかったと考えている。我々にはいつものように様々な見解があった。しかし、最終的には今回の決定に強い投票が得られた」というもの。
見ての通りパウエル議長は、質問に正面から回答していない。それはいずれ利下げするにしても、12月ではなく10月にあえて利下げする必然性は小さかったために、正面からの回答のしようがなかったからだ。