大槻氏が暫定的に指揮を執った昨シーズンは、公式戦6試合で4勝2分けの無敗でオリヴェイラ前監督にバトンを渡している。選手たちを鼓舞する、モチベーターとしての高い手腕が短期間で奏功した形だ。しかし、正式に監督となり、長丁場に臨む上ではメンタル面だけでは戦えない。

 7月31日のアントラーズ戦を皮切りに、レッズはリーグ戦で1勝6分け6敗と低空飛行を続けてきた。引き分けのうち先制点をあげながら追加点を奪えず、相手の反撃を許した末に追いつかれたパターンが半分の3回を数える。これが何を意味するのか。興梠がこんな言葉を残したことがある。

「自分が思うに、後ろがちょっと重たいのかな、と。1点を守り切ろうとは誰も思ってはいないだろうけど、そうした気持ちが少しでもあるから後ろが重たくなってしまう。悪い時間帯だからこそ前からどんどんプレッシャーをかけていきたい、という思いはあるんですけど」

 後ろが重たいとはチーム全体が下がり気味になり、守備に重心が置かれる状況をさす。何とかして勝ちたい。でも、なかなかゴールを奪えない。ならば、千金の一発を守るしかない。ピッチ上でプレーする選手たちも人間である以上は、やや後ろ向きのメンタル状態になるのも無理はないだろう。

 しかも、ホーム&アウェイで行われるACL決勝とJ1の日程が重複するため、レッズは9日の第31節と23日の第32節を、前倒しする形ですでに消化している。結果はアントラーズに0-1で、川崎フロンターレには0-2で敗れ、順位は11位ながら残留争いから抜け出せない状況が続いている。

 J2へ自動的に降格する17位の松本山雅FCとの勝ち点差は6ポイント、J1参入プレーオフに回る16位の湘南ベルマーレとのそれは5ポイントしか離れていない。混戦が続く状況で残留を争うライバル勢が4試合を残しているのに対し、レッズは2試合しか残されていない。

 要はACL決勝を戦っている間に、残留争いの状況が大きく変わっている可能性もあるわけだ。しかも、日本時間10日未明に敵地サウジアラビアで行われる、アルヒラルとのACL決勝第1戦をにらんで、レッズは1日のアントラーズ戦から先発を8人も入れ替えて5日のフロンターレ戦に臨んでいた。