サンフランシスコのモリス通りにあるクラウドキッチンの拠点
サンフランシスコのモリス通りにあるクラウドキッチンの拠点 Photo:Jason Henry for The Wall Street Journal

 米ライドシェア大手ウーバーテクノロジーズ創業者のトラビス・カラニック氏は、最高経営責任者(CEO)時代、「ウーバーイーツ」のおかげで、食品宅配サービスの興隆を最前線で目にすることができた。同氏は次に手掛ける事業で、不動産を通じてこのブームにあやかろうとしている。

 カラニック氏は新事業「クラウドキッチン」で米国やインド、中国、英国などで割安な不動産物件を買い上げている。人口密度の高い地域に隣接した物件を取得し、多少多く払ってでも出前を望む消費者向けに宅配専門の食品を用意する商用キッチン、もしくはミニ倉庫とすることがその狙いだ。

 資本を注ぎ込み、または新規レストランを開店するリスクを背負わずに、新たな料理のコンセプトに挑戦したいシェフなどがテナント候補になる。こうした「ゴーストキッチン(ネット宅配を利用した実店舗を持たないレストラン)」は、調理能力の拡大や店舗から離れた場所にも料理を届けたい既存のレストランにとっても魅力だろう。

 ここに商機を見いだしているのはカラニック氏だけではない。こうしたゴーストキッチンを手掛ける企業にはリーフ・テクノロジーズなどがあり、同社はクラウドキッチンより多くの資金を調達している。リーフの投資家には、ソフトバンクグループ傘下のビジョン・ファンドやアルファベットのベンチャー部門GVが支援するキッチン・ユナイテッドなどが名を連ねる。

 食品宅配ビジネス自体は競争が非常に激しい。このビジネスモデルを手掛けるグラブハブの株価は先頃、さえない決算が嫌気され、40%も急落した。収益悪化の背景には、未上場で資金豊富な競合のドアダッシュが市場シェアを伸ばしており、激しい競争にさらされていることがある。モバイル決済会社スクエアは、食品宅配部門のキャビアを見限り、ドアダッシュに売却した。カラニック氏が共同で創業したウーバーには、ウーバーイーツがある。