株式市場の楽観ムード、パニックの修正にすぎないPhoto:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 株式市場の投資家は数カ月にわたってさまざまなシグナルを出した後、楽観的な姿勢に転じている。こうしたムードの転換を正当化する理由はほとんど見当たらないが、それが間違っているわけでもない。

 2019年は奇妙な年だ。米中貿易紛争と世界経済減速の兆しを背景に、資金運用担当者が株式ファンドから逃げ出したにもかかわらず、S&P500種株価指数は何度も史上最高値を更新した。彼らは資金を現金のまま保持したり、債券市場に移したりした。10月は製造業の統計が悪化し続けたこともあり、株式市場からの資金流出は極めて大きかった。

 しかし、過去数週間ですべてが変わった。

 S&P500種指数は先週末、過去最高値を記録した。ただ今回の高値更新の背景には株式ファンドへの資金流入があった。ファンドの動きを追跡しているEPFRグローバルのデータによれば、先週の株式ファンドへの資金流入額は、9月以降では初めて債券ファンドへの流入額を上回った。8日公表された全米個人投資家協会(AAII)の週間調査では、市場センチメントが2018年1月以来で最も大きく強気方向に変化した。