新喜皮革の革製品
新喜皮革が手がける製品

 将来的には、世界3位のスポーツ・アウトドア用品チェーンであるアメリカのバス・プロ・ショップスで魚革製品を取り扱ってもらいたいと新田は語る。世界を巡って釣りをする新田にとって、バス・プロ・ショップスは憧れの専門店でもある。

 新田は近畿大学卒業ということもあり、同大の完全養殖マグロの皮の多くが廃棄されていることを知り、革へと生まれ変わらせた。また、ブラックバスは琵琶湖産で、漁協により食用に供された後の皮を活用している。

「馬も含めて、食用として命をいただいた副産物だけを革として再生しています。タンナーの仕事の喜びは生き物にもう一度命を吹き込めることで、余すところなく大切に使うのが当社の使命だと思っています」と、新田は強調した。

 コードバンの原皮は主にヨーロッパから輸入しているが、馬肉として食用にされた後に出てくる皮を利用している。製革のために家畜を屠殺することはないという。

一般的な革づくりと比べて
10倍の手間暇がかかる

 兵庫県は皮革製品の全国シェア70%を占める産地であり、1500年も伝統産業を守り続けている。特に新喜皮革がある姫路・高木地区には70社のタンナーが集まっており、日本最大の集積地である。

 そのうち、馬革を扱うタンナーが6社あり、馬革では全国シェアの大半を占める。しかし、コードバンを一貫生産しているのは新喜皮革しかない。

「コードバンは馬の臀部の皮しか使わないので、馬1頭分の皮からその部分だけ切り分けて別工程で製革します。それは大変手間のかかる工程のため、普通は馬1頭分をまるごと製革した方が効率的なのです。当社は父(現社長の新田常喜)が苦労してコードバンづくりに取り組み、1975年から本格生産していますが、当初はバカなことをやっていると周囲から揶揄されたようです」