それはそれで評価できることだが、日産の問題はクルマが売れなくなり、相対的にクルマづくりのコストが高くなっているということ。上半期の売り上げは5兆30億円。そこにかかる製造原価は4兆2348億円。売上高に対する原価率は実に85%で、三菱自動車と並んで日本メーカーの中では最も効率が悪い。売上総利益は7365億円。ここから人件費、広告宣伝費、販売経費などを差し引いていくわけだが、総利益が絶対的に少ないというのでは、節約をどれだけ頑張ってもタカが知れているというものだ。

 値引きに頼らないという販売の質の是正はもちろんやり抜く必要があるが、それだけではダメで、売れる商品を連発して上向きの流れを作らなければいけない。

 地力はある。クルマづくりのノウハウの蓄積が豊富な上、研究開発部門のエンジニアも質量ともに充実している。時折、ゴーン前会長は日産の研究開発費をケチってルノーに貢いでいたといった言説を見かけるが、それはまったくの的外れで、売上高に対する研究開発費の比率はかつての経営危機から立ち直ってからはずっと高水準だった。今期の研究開発費の見通しも5400億円と、日本企業のトップ3に入る勢いである。先端分野を含め、技術開発のレベルも依然として高い。

 そのパワーを生かすも殺すも、次の経営陣次第。技術力は研究開発部門の人員と予算、産学連携のオープン度合いなど、透明性の高いところで決まるが、それを駆使してどういう商品を作り、どこに投入すれば売れるか、また世界のトレンドを引っ張れるかということを従業員に考えさせ、最終決断を下すのは経営陣だ。

アメリカ、中国以外の市場は
手薄な感が否めない

 西川前社長は辞任に追い込まれる前に新たな中期経営計画を発表。そのなかでアメリカと中国に注力すること、新興国向けのダットサンをはじめとする低価格帯のモデルをやめることなどの方針を発表していた。が、アメリカ、中国以外の市場については正直、手薄な感が否めない。

 おざなりになりかねないのは欧州市場と日産の母国、日本だ。

 日産は日本市場軽視なのではないかという批判はかなり前からあり、西川前社長はそれに対して「過去、一部の勢力の判断で日本が手薄になったことは否めない」と、暗に旧経営陣を批判していた。