日産自動車の2019年度4~6月の第1四半期決算は営業利益わずか16億円と、赤字すれすれの状況に陥った。この決算には「裏がある」と見る向きも少なくない。(ジャーナリスト 井元康一郎)
今回の日産の決算には
「裏」がある?
営業利益わずか16億円と、赤字すれすれの状況に陥った日産自動車の2019年度4~6月の第1四半期決算。もともとこの第1四半期については厳しい数字を見積もっていたとのことだが、7月25日の決算説明会で西川廣人社長は「予想より下振れした」と、16億円は想定外という認識を示した。
この決算には「裏がある」と見る向きも少なくない。
ライバルメーカーのある幹部は、「もちろん他社の台所事情なので真相は闇の中ではありますが、日産くらいの規模の会社であれば、利益を積み増す工夫の余地は十分にあるはず。うちだって決算を少しでも良く見せるための倹約令や押し込み販売は珍しくありません。日産は今、ルノーとアライアンスのありかたを巡って丁々発止のやり取りを行っていますが、これもルノーに対する牽(けん)制ではないかと想像してしまいます」と語った。
日産の意図がルノーとの交渉をコントロールする「材料作り」にあるかどうかはともかく、この赤字すれすれの決算は一見、きわめて危機的なようだが、90年代に日産が巨額の実質有利子負債を抱え、身動きが取れなくなっていた時とは性質がまったく異なる。
厳しい状況であることは確かなのだが、経営戦略を変え、新しいことをやるパワーは十分に持っている。