トランプvs習近平のゆくえ

出口 歴史を見ると、国と国のケンカをおさめるために、たくさんの賢い方法とられています。ケンカにもルールはあります。
 まず、いわれたら、いい返さなければいけない。
 今、一番ケンカをしているのはどこですか?
 日本と韓国もそうですが、一番はアメリカと中国でしょう。
 アメリカのトランプ大統領がツイッターでセンセーショナルに叫ぶわけです。
 それに対して中国はどうしています?
 習近平(1953−)や李克強(1955−)を表舞台に出さないで、政府のスポークスマンに対応させています。
 あれは極めて外交上手で、政府のスポークスマンがいったことは政府見解なので、アメリカのトランプ大統領がいったことに対して中国政府は必ずいい返しているという「ファクト」は残るわけです。
 でも、トランプはどうするかといえば、習近平自身が直接反論してきたらツイッターでまた反論できるわけですが、現状音沙汰なしなので反論ができない。
 現状では、トランプは「習近平は悪いやつではないけれど」といういい方にしかならない。
 だから国と国のケンカの仕方も多様で、国としていい返すことと、どのカードを使っていい返すかということは別問題です。
 中国は周恩来(1898-1976)以降、外交はなかなか上手です。
 自分で振り上げた拳(こぶし)に対して、相手も大将が出てきたら、互いに引くに引けなくなるでしょう。でも、そもそも大将を出さなければ、トランプもいい訳ができる。
 習近平と話したら、「話はわかった」といえるのですが、習近平本人が前もって反論してしまったら、そうはいえない。
 歴史を見ていくといろいろ参考になりますね。

――中国の外交のうまさは、歴史をきちんと学んでいる証でしょうか。

出口 はい、そう思います。

――アメリカもそうですかね。逆にいうと日本は?

出口 アメリカは歴史が短いですからね。対する中国には長い歴史がある。

――やっぱり我々も学ばないと。