首相経験者が陰謀論を
認めたという事実の重み

《沢尻エリカさんが麻薬で逮捕されたが、みなさんが指摘するように、政府がスキャンダルを犯したとき、それ以上に国民が関心を示すスキャンダルで政府のスキャンダルを覆い隠すのが目的である。》

 このようなツイートをしたのは、鳩山由紀夫氏。そう、2009年9月から10年6月まで、旧民主党時代の第93代内閣総理大臣を務めた人物だ。

 まがりなりにも、この国の最高権力者だった人間が、沢尻容疑者逮捕を「政府のスキャンダルを覆い隠すのが目的」だと認定したことの意味は極めて大きい。日本の内閣総理大臣は、自分の都合が悪くなると、デスノートに名前を書き込むノリで、芸能人を薬物でブタ箱送りして世間の批判をかわす、という政治手法を使う、と「経験者」が公式にお認めになったということになるからだ。

 これは一部の有名人やジャーナリストのような「外野」がああだこうだと主張するのとは、まったく次元が違う。自身がそのポストに就いていたわけだから、「そこまで断言するということは、あなたもこの裏ワザを使ったの?」という、在職中の「検証」も必要になってくるからだ。

 例えば、鳩山氏は首相に就任する前から、自身の資金管理団体「友愛政経懇話会」の収支報告書虚偽記載問題が叩かれていたのだが、就任して3ヵ月後に、政権を揺るがしかねないスキャンダルに発展している。

 09年12月24日、東京地検特捜部は、政治資金規正法違反罪で、会計事務担当だった元公設第1秘書を在宅起訴、会計責任者だった秘書を略式起訴した。一方、鳩山氏自身は「嫌疑不十分」で不起訴となった。

 誰も逮捕者を出していない「桜を見る会」でもこの大騒ぎなので、当時の野党もマスコミも、「クビの取りどころ」だと鼻息が荒くなった、というのは容易に想像できよう。

 そのテンションをわかっていただくために、今も昔も、野党として政権批判には定評のある「しんぶん赤旗」の怒りのコメントを引用させていただこう。

《虚偽記載総額は4億円を超えました。同事件では、首相はまともに説明責任を果たしておらず、国政の場でも全容解明が引き続き重大課題となります》(2009年12月24日)