◇大きなゴールに近づくための唯一の方法

 仕事をしていくうえで大事なのは、なんらかの目標を持つことだ。目標を持たずに刹那的に仕事をしていると、自分がいまどの位置にいて、なにをやっているのかが見えにくくなる。

 目標を持つうえでのコツは、目標を大きなものではなく、目先の小さなことに設定することである。「売上を○○○円まで伸ばすぞ」など、近いうちに達成できそうなことを目標として掲げておく。著者の場合では「この夏は読み切りを描くぞ」や「秋には京都旅行に行くぞ」など、いつも目先の目標を持っていた。

 たとえば受験生なら、希望校に受かることが当面の目標である。しかしその目標を達成したら、その学校でなにを学ぶか、卒業したらなにになるかを考えてみてはどうだろうか。到達した目標は、新たなスタート地点でもあるのだ。

 著者の場合は『こち亀』の10巻目が出た時点で、ひとつの目標を達成した気分になった。しかしすぐに次の目標に向かい、休まずに走り続けていった。小さな目標→達成→新たなスタートという繰り返しこそが、大きなゴールへ近づいていく唯一の方法なのである。

◇休まずに動き続けたからこそ得られる成果

 漫画家には「次の展開はどうしよう」という悩みがつきものだ。基本的には、ひとつの作品の連載中はあまり悩まず一気に描ききり、連載を終えて次回作をスタートするまでの間に悩む人が多い。

 しかし『こち亀』を長期連載していた著者の場合、休みをまったく取らなかったため、描きながら悩むという習性が身についた。「あと3週間で終わり」と、突然打ち切りを宣言されてもおかしくない世界である。そんな世界でずっとやってきた著者は、漫画家特有の悩みに対して常に開き直り、どんなマイナスの状況でも「まあ、なんとかなる」と楽観的であり続けた。

 それは裏返せば、「いくら悩んでも駄目なものは駄目」という過酷な状況にあったからこそである。「大抵はなんとかなる、でも駄目なときは駄目」。こうやってシンプルに考えて、あとは素直に自分の力を信じて、やれることをやるしかない。

『こち亀』の連載を終えたあと、著者はすぐに4作品の連載を新たに始めた。それは休むのが恐かったから、そして現役の力を信じていたからである。どんな人でも一旦休んでしまうと、かならず周囲の状況とのズレが生じてしまうものだ。