アブカイクにあるアラムコの製油所
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 サウジアラビア当局はここ数日、複数の著名人を逮捕している。外資を呼び込むためイメージ向上に努めているサウジだが、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が敵と見なす勢力の排除はさらに強化しているようだ。

 11月16日以降、記者や知識人、実業家を含む少なくとも9人が逮捕された。

 サウジは目下、国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)に向けて、積極的な売り込み攻勢をかけている。最近の逮捕は、反体制派記者ジャマル・カショギ氏の殺害を受けて冷え込んだ外国人の投資意欲をサウジが瀬踏みする中で起きたことになる。

 カショギ氏殺害に対する国際社会の批判が高まる中でも、ムハンマド皇太子は総じて、トランプ米大統領など、主要同盟国から政治的な支援を維持している。こうした状況がサウジ当局を勢いづかせ、敵視する勢力への逮捕拡大を招いている、と人権団体は指摘している。

 ムハンマド皇太子が王位継承者となった2017年半ば以降、サウジ政府は活動家や宗教指導者、実業家ら数十人を一斉逮捕。こうした締め付けは、女性の運転解禁や外国人観光客の受け入れ開始など、社会改革の一部と同時進行で行われた。

 今回逮捕された人物は、政治活動や政府への厳しい批判で特に広く知られているわけではない。その点で異例の動きとも言え、サウジ当局が締め付けの対象を、過去に政府を支持した人物にまで広げていることを示唆している。

 事情に詳しいある関係者によると、2011年に発生した中東の民主化運動「アラブの春」について、発言や執筆を通じて支持を表明したと政府に特定された人物が逮捕された。

 逮捕者には、知識人のワアド・アルムハヤ氏、記者のアブダルマジード・アルブルウィ氏らが含まれる。ロンドンにあるサウジの人権団体「ALQST」や関係筋が明らかにした。両氏ともムハンマド皇太子が進めている改革にかつて関与していた人物だ。また著名哲学者で、政府支援の文化活動に参加していたスレイマン・アルサイカン・アルナセル氏も逮捕されたもようだ。

 サウジ政府は、逮捕に関するコメントの要請に現時点で応じていない。

 サウジ当局は昨年、女性の運転を解禁する一方で、その裏では女性の運転の権利を唱える著名活動家の一団を同時に逮捕していた。逮捕された女性らは現在、敵の国家やメディアとやり取りしていた罪で、裁判にかけられている。その一部は、拘束中に水責めや電気ショックなどで拷問を受けたなどと主張。サウジ検察は疑惑を一切否定している。

(The Wall Street Journal/Jared Malsin in Cairo and Summer Said in Dubai)