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『週刊ダイヤモンド』11月3日号の第1特集は、「投資に役立つ地政学・世界史」特集です。こうした特集で必ず語られるのが中東情勢。大国の思惑が絡み、常に複雑な情勢だからです。そこでトルコ、イラン、サウジも3国の歴史から、今の中東情勢をざっくり掴むヒントとなるための記事をお届けします(本誌2017年1月28日号「激変世界を解く 新地政学」より)。

 中東は紀元前から文明が栄え、キリスト教とイスラム教、ユダヤ教の聖地を抱える。さらに欧州とアジア、アフリカをつなぐ交通の要衝で、近代においては幾つもの油田を持つエネルギーの源でもある。中東はまさに地政学的に重要な要素が濃縮されている地域で、故に覇権をめぐって争いが絶えず、多くの血が流されてきた。

 この数年、中東での戦乱の中心は過激派組織「イスラム国」(IS)だった。だが、2016年夏ごろから急速に弱体化。支配地域からの敗走が伝えられている。

 ついにISが駆逐され、中東に平和が訪れる──。米国では打倒ISを中東政策の第一に掲げるトランプ大統領が誕生し、さらに国務長官に指名されたレックス・W.ティラーソン氏は、中東で存在感を強めているロシアと関係が深い。こうした事情を知ればなおさら、中東の将来を楽観視してしまう。

 だが、中東での戦乱の系譜は、そう簡単に途絶えそうにない。在イラク大使館公使などを歴任したキヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦研究主幹は「混乱は収まることはなく、むしろ深まるだろう」と読み解く。

 ではISが駆逐された後、中東ではどんな「世界史」が刻まれるのか。かつてのオスマン帝国とペルシャ帝国、そしてアラブの盟主が地域覇権を争う“中東三国志”時代に突入する、というのがこの問いに対する答えだ。