米国と中国の間に「鉄のカーテン」が出現するとき、世界は大分裂するのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

部分合意が成立しても
米中覇権争いは終わらない

 米中の貿易協議が、部分合意(第1段階の合意)に近づいてきた。合意時期が来年にずれ込む可能性は残るものの、合意成立の蓋然性は相応にあると考えて良いだろう。

 両国が追加関税の掛け合い合戦を繰り返していた時期と比べれば、事態は明らかに改善しており、世界経済や金融市場にとってのリスクも少なくとも短期的には低下している。

 両国を部分合意に向かわせている最大の要因は、来年の米大統領選挙が視野に入ってきたことだ。中国による農産物の輸入拡大を含む合意が成立すれば、トランプ大統領にとっては、自身の支持層である農家に対して、選挙でその政治成果を強くアピールできる。米中貿易協議の部分合意は、トランプ政権の重要な選挙対策だ。

 日米貿易協議においても、トランプ政権は自動車分野を棚上げし、日本の農産物関税率引き下げを柱とする部分合意としたのも、全く同じ構図である。

 しかし、部分合意が成立しても、両国間の対立が解消に向かうわけではない。米中協議を通じてトランプ政権が目指してきたのは、国家が経済活動を強く統制する、中国の「国家資本主義」の変革だ。

 トランプ政権は、国有企業重視、巨額の産業補助金などに代表される中国の国家資本主義を、米国の経済、産業、技術、安全保障上の優位を揺るがせかねない脅威、と考えている。しかし、国家資本主義の見直しは政治体制の見直しにも直結しかねないことから、中国政府はそれを決して受け入れない。