2024.9.10
岸田政権の経済政策「遺産」どう引き継ぐ?成長重視の軌道修正は道半ば
「新しい資本主義」などを掲げた3年間の岸田政権の経済政策は、当初の分配重視から子育て支援や新NISA導入など成長重視に軌道修正したが道半ばであり、一方で財政健全化は進まなかった。功罪入り混じる遺産をどう引き継ぎ、何を変えるか、自民党総…
野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト
きうち・たかひで/1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。著書に『異次元緩和の真実』(日本経済新聞出版社)、『金融政策の全論点』(東洋経済新報社)、『決定版 銀行デジタル革命』(東洋経済新報社)、『トランプ貿易戦争』(日本経済新聞出版社)、『世界経済、最後の審判 破綻にどう備えるか』(毎日新聞出版)、『プラットフォーム経済圏 GAFA vs. 世界』(日経BP)(2019年5月27日発売)がある。
2024.9.10
「新しい資本主義」などを掲げた3年間の岸田政権の経済政策は、当初の分配重視から子育て支援や新NISA導入など成長重視に軌道修正したが道半ばであり、一方で財政健全化は進まなかった。功罪入り混じる遺産をどう引き継ぎ、何を変えるか、自民党総…
2024.8.11
米大統領選でトランプ氏再選となれば、関税引き上げや財政拡張政策などが予想され、「ドル安・株安」が進む可能性が高い。米経済や金融市場は第1期政権時より保護主義的政策への傾倒や財政悪化への脆弱性、不安定要因が強まっており「トランプノミ…
2024.7.6
日本人の出生者数や出生率が2023年も過去最低水準を更新することになった原因は、少子化対策が既婚者を対象にした給付の増額が中心になっていることがある。婚姻率も低下し続けており、女性が子育てと仕事を両立できるよう企業や配偶者の意識変革も…
2024.6.2
米中の覇権争いが言われるが、中国経済は不動産不況長期化に加えて人口減少・労働力不足で「世界の工場」という成功のビジネスモデルは壁に当たっている。2020年代末には経済規模で米国を抜くと予想されたが、直近のIMF見通しでは移民流入で活性化…
2024.5.1
日本銀行の「緩和維持」を受けて円安が加速したドル円相場は29日、160円台まで円安が進んだ後、6円近く円高となる荒れた展開になった。円買い介入が疑われるが、介入は米国がけん制していることもあって、日本側の「円安阻止」は日銀の利上げに依存…
2024.4.3
日本銀行は2%物価目標達成を宣言し政策転換をしたが、先行きの物価の行方の不確実性を認識しながら「見切り発車」した感があり、金融市場が追加利上げを見込んで先走りしたり、逆に物価上昇鈍化の際には緩和を予想したりして不安定化する懸念があ…
2024.2.27
日経平均株価がバブル期から約34年ぶりに史上最高値を更新したのは実体経済の反映ではなく「物価高」「金融緩和」「円安」の循環と相乗効果によるものだ。日銀のマイナス金利解除や米国景気減速を機にスパイラルは逆回転するリスクがあり高値更新に…
2024.2.7
共和党予備選圧勝のトランプ前大統領が大統領選でも勝つことになれば「米国第一主義」が復活し、とりわけ懸念されるのは、対中輸入関税引き上げや財政拡張、ドル安政策でインフレ再燃や世界の金融市場の不安定化が強まることだ。日本も企業の業績好…
2024.1.16
金融市場では2024年早々にもマイナス金利解除の予想が根強いが、FRBが春先にも利下げに転ずる見通しもあり、円高急伸のリスクがある中で日銀が米国の利下げ中に利上げをするとは考えにくい。マイナス金利解除はFRBの利下げ一巡が見込まれる24年10月…
2023.12.7
2023年の実質GDPはインバウンド需要急回復などで+1.7%と22年の2倍近くの伸びになる見通しだ。だが24年は実質賃金低下による消費停滞や中国や米国の景気減速の影響で成長率は+0.6%に減速することが予想される。
2023.11.1
日銀が10月の金融政策決定会合でYCC運用の再柔軟化を決めた。来春闘での高い賃上げを確認したうえで日銀が物価目標達成を宣言し政策変更に踏み出すという見方が強いが、2%物価目標に整合的な春闘ベアは5%程度が必要だ。物価上昇率の鈍化や中小企…
2023.10.12
需給ギャップがプラスになり「デフレ脱却の4条件」が満たされたが、脱却宣言は出そうにない。「デフレ脱却」は政権の経済政策への求心力を高めようという政治的思惑からのキャッチフレーズという面が色濃いからだ。
2023.8.30
中国経済は物価と不動産価格の「ダブル・デフレ」の様相だが、潜在成長率の下方屈折や対米貿易摩擦で内需拡大に走り不動産市場過熱の後遺症が長く残るなど、日本が歩んだ道と酷似する。中国経済の“日本化”はあり得る。
2023.8.2
米国ではインフレが減速、消費者物価や中長期のインフレ期待の上昇率は日本が上回る「日米逆転」になった。日本の個人のインフレ期待は大幅に上昇しており、日銀はYCCの運用柔軟化を決めたが、緩和の度合いを弱める本格的な政策修正に早期に踏み出…
2023.7.5
日銀の「緩和維持」が続き市場では政策修正の予想が後退し円安再加速、株高が進む。だが緩和が行き過ぎた円安・株高を生むリスクがあり、植田日銀は物価目標達成が難しい場合でも緩和の枠組み見直しをする可能性が強い。
2023.6.9
米国のハイペースの利上げの影響は企業の過剰債務が歴史的な高水準にあるなか、企業セクターで問題が顕在化し、金融不安は低格付け企業向けの資金供給チャネルが危機の震源地になる可能性がある。
2023.5.12
コロナ対応が「平時」になり、水際対策緩和で訪日外国人客数は8月にはコロナ禍前の水準を上回る見通しだ。インバウンド需要は成長戦略の柱として有望だが、高付加価値化や地方への誘致などの課題がある。
2023.3.31
クレディ・スイス買収劇は、政府による銀行救済と民間のディールが組み合わされた。損失処理で国民に負担が及ぶ懸念があるほか、AT1債が無価値になって投資家は損失を被り銀行も自己資本確保に強い逆風だ。
2023.3.2
日銀の新総裁候補、植田和男氏の国会での答弁から判断すると、日銀はゆっくりながら金融政策を大きく修正するとみられる。マイナス金利政策やYCCといった緩和の枠組み見直しなど「3つの優先課題」が浮上する。
2023.1.20
金融政策の正常化は新総裁体制でYCCの金利変動幅再拡大と物価目標の見直しを先行した後、マイナス金利解除へと進むが、YCCは温存される見通し。米景気などの動向次第では正常化は24年半ば以降に後ずれも考えられる。
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