一井:シリーズものばかりでは、開発力が伸びないというのはご指摘の通りです。では、どうしたら意欲的な新規タイトルを出せるかというと、これは会社のブランドやタイトルに対するビジョンや目標設定がどうなっているか、に尽きると思います。

 私は、技術が高まったからといって、お客様に「おおっ」って言っていただけるようなハイクオリティーのタイトルが出るとは思いません。やはり、魅力あるビジョンや高い目標を持っているタイトルが、そのクオリティーを達成して、お客様を惹きつけると思うんですよ。そして、そのクオリティーを達成する道具が技術なんですね。

 そうなると、やっぱり会社のメンバーがエキサイトする目標設定をしないと、お客様に「これすごいね」って言っていただけない。最近、日本市場でそういうお声が出てないっていうのはその目標設定の問題じゃないかなぁって思うんですよね。でも、E3のイベントを見ながらそれで私が「これからどうしていこうかなぁ」って考えているときに、まさにそれを言い当てている業界人が何人かいました。ですので、問題設定に関しては実はそんなに悲観していません(笑)。

コンプガチャに関する対応は、行政指導以前の問題
コンテンツビジネスはお客様との信頼関係が不可欠

石島:ですが、ごく一部の人が「重課金者」となって月に10万円でも払ってくれる価格差別戦略を採用した、いわゆるソーシャルゲームビジネスの成功は、従来型の家庭用ゲームビジネスのやり方を否定したように思います。パッケージ買い切り型よりも価格差別戦略の方がビジネスとしてはうまみがあるし、儲かることが証明された。

 利益を上げることを要求される企業ならなおさら、魅力あるビジョンや高い目標を考えるよりも、手っ取り早く儲かるソーシャルゲーム市場で利益を上げたほうが良いのではありませんか?

一井:先に申し上げておきたいのですが、カプコンはソーシャルゲームビジネスを否定していません。ソーシャルゲームも数ある市場のひとつとして捉えてちゃんと育てていきたいですし、育てていかなくてはいけません。ただし、今のソーシャルゲームビジネスには、石島さんも原稿で書かれたとおり、一部問題があったことは間違いありません。

石島:具体的には?