中国が欧米から学んだ
「座付きオーケストラ」のスタイル

 イタリアオペラ界の最高峰とされる歌劇場、スカラ座にはミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団があり、本業はオペラやバレエ公演の演奏であり、リハーサルの場所を毎回借りる必要もない。また、劇場のオフシーズンである6月から10月には世界中で演奏活動を行う。こうしたスタイルは、ウィーン国立歌劇場の管弦楽団員で組織されるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団しかり、米メトロポリタン歌劇場付属のメトロポリタン歌劇場管弦楽団しかり、である。

 日本では座付きオーケストラはあまり例がないが、欧米から直接学ぶというスタンスをとる中国では、上海交響楽団、中国国家大劇院管弦楽団、広州交響楽団……そのほか蘇州、西安、四川のオーケストラも座付きだ。

 中国の音楽界は、猛烈な勢いでグローバルスタンダードを吸収し、レベルアップしているのである。

「2020年5月、深セン交響楽団が日本で初めて公演します。実は、日本側がお金を出して中国のオーケストラを呼ぶというのは、歴史上初めてなんです。これまで北京、上海、広州などのオーケストラが日本で公演しましたが、ホール代も宿泊費もすべて先方が出していました。今回、初めて日本側が招いて、“来てもらう”わけです。アジアの、中国のオーケストラがここまでのレベルにあるということが実感できるはずです」と松田氏は言う。

 世界の歴史を振り返ると、音楽や芸術が花開くのは、成熟しきった国ではなく、その時代で最も発展中の国といえる。

「音楽業界だけでなく、文化庁をはじめ政府関係の人にも言いたい。これからの時代に合ったクラシックの伝え方、あり方を学ぶ先として、中国ははずせないですよ」と、松田氏は最後に強調した。