観光地域づくりの実現を目指し、
日本版DMO候補法人を設立

 2019年5月には、高岡市、射水(いみず)市、氷見市、砺波(となみ)市、小矢部(おやべ)市、南砺(なんと)市、計6市の行政と約60の企業・団体が連携して、「一般社団法人富山県西部観光社『水と匠』」を設立しました。
 僕も社員理事として、「水と匠」に参加しています。

 この団体は、富山県西部地区の民間事業者を中心とした「DMO勉強会」が母体となっており、産・官・金・民・学が連携した日本版DMO候補法人(Destination Management/Marketing Organization:観光地域づくり法人)として、旅行商品の開発などを通した地域活性化を目指しています。

●日本版DMO
 地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりを実現する法人のこと(参照:国土交通省 観光庁ホームページ)

 富山県西部は、銅器や彫刻といった伝統技術が根づいているにもかかわらず、誘客では隣の県の石川県金沢市に大きく出遅れています。

 そこで、「地域産品の開発・販売」「伝統技術に触れる旅行商品を開発・販売」「空き家の活用」など、地域資源を観光に活かしていく方針です。

「水と匠」では、富山県西部地区において、おもに6つの事業を展開していきます。

●データ分析・マーケティング
 域内の観光や産業の状況把握と分析。地域と来訪者のニーズ把握とマッチング

●観光商社
 シニア・富裕層・インバウンド向けの高付加価値旅行商材の企画・開発

●地域商社
 地産品の発掘や商品開発など、新たな産業の創出

●デベロップメント
 古民家・空き店舗の再生。宿泊施設、飲食施設、シェアオフィス、スタジオ等の整備

●エリア・プロモーション
 地域や商品の情報発信

●コンサルティング
 地域活性に関わる業務のコンサルティング。人材育成のためのワークショップ等の実施

 ぜひみなさんに工場見学にきていただきたいです。
 年間12万人が訪れる富山の本社工場の雰囲気を知りたい方は、第1回連載もご覧いただけたらと思います。

富山の片田舎でも<br />“産地の一番星”になる法能作克治(のうさく・かつじ) 株式会社能作 代表取締役社長
1958年、福井県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒。大手新聞社のカメラマンを経て1984年、能作入社。未知なる鋳物現場で18年働く。2002年、株式会社能作代表取締役社長に就任。世界初の「錫100%」の鋳物製造を開始。2017年、13億円の売上のときに16億円を投資し本社屋を新設。2019年、年間12万人の見学者を記録。社長就任時と比較し、社員15倍、見学者数300倍、売上10倍、8年連続10%成長を、営業部なし、社員教育なしで達成。地域と共存共栄しながら利益を上げ続ける仕組みが話題となり、『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)など各種メディアで話題となる。これまで見たことがない世界初の錫100%の「曲がる食器」など、能作ならではの斬新な商品群が、大手百貨店や各界のデザイナーなどからも高く評価される。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員会特別賞、第1回「三井ゴールデン匠賞」グランプリ、日本鋳造工学会 第1回Castings of the Yearなどを受賞。2016年、藍綬褒章受章。日本橋三越、パレスホテル東京、松屋銀座、コレド室町テラス、ジェイアール 名古屋タカシマヤ、阪急うめだ、大丸心斎橋、大丸神戸、福岡三越、博多阪急、マリエとやま、富山大和などに直営店(2019年9月現在)。1916年創業、従業員160名、国内13・海外3店舗(ニューヨーク、台湾、バンコク)。2019年9月、東京・日本橋に本社を除くと初の路面店(コレド室町テラス店、23坪)がオープン。新社屋は、日本サインデザイン大賞(経済産業大臣賞)、日本インテリアデザイナー協会AWARD大賞、Lighting Design Awards 2019 Workplace Project of the Year(イギリス)、DSA日本空間デザイン賞 銀賞(一般社団法人日本空間デザイン協会)、JCDデザインアワードBEST100(一般社団法人日本商環境デザイン協会)など数々のデザイン賞を受賞。デザイン業界からも注目を集めている。本書が初の著書。
【能作ホームページ】 www.nousaku.co.jp