飲む糖質ゼロ日本酒から
料理酒に方向転換

 キング醸造が糖質ゼロ調味料の開発をスタートしたのは、2015年。当時は糖質制限ブームの真っただ中で、食品・飲料メーカーが糖質ゼロ・糖質オフ商品に目を向け始めた時期だった。

「酒類メーカー各社が発売した『糖質ゼロ、プリン体ゼロのビール』を皮切りに『糖質ゼロの日本酒』も多く登場しました。当社でも糖質ゼロの日本酒を発売しようと企画を立ち上げたのですが、後発ということもあり、試行錯誤の末、商品化には至りませんでした」

 飲むための日本酒はかなわなかったが、長年製造してきた“料理酒”ならば、勝負ができるかもしれないという意見があがり、糖質ゼロの料理酒に方向転換したという。

「糖質ゼロで、かつ料理のうま味を引き出すお酒。口で言うのは簡単ですが、納得のいく品質に持っていくまでに、2年ほどかかりましたね。“日本初糖質ゼロの料理酒”を目指していたのですが、微調整をしているうちに他社から糖質ゼロの料理用清酒が発売され、惜しくも日本初を逃しました…」

 国内初は逃しつつも、ついに世に出た「日の出 料理清酒 糖質ゼロ」。しかし「発売後の反響はあまりなかった」と振り返る。

「大きな反響はなかったのですが『糖尿病の夫と家族が全員で“同じものを食べる”ことができるようになり、とてもありがたい』という声が届くようになりました。糖尿病食は糖質を抑えるため、糖尿病の人とほかの家族は食事の内容と味付けを変えなければならず、手間が2倍になっていたそうです。しかし、糖質ゼロの料理酒を使えば家族で同じものが食べられる。お客さんからいただいた感謝の言葉で、新たなニーズを知ることができました」