本連載でも『医者が教える食事術2 実践バイブル』でも、繰り返し食品についてはイメージに踊らされることなく、成分を確認することと表示を見ることの重要性を訴えてきました。とはいえ食品メーカーは当然ながら商品に「糖質たっぷり」とか「塩分が多い」といった悪いイメージの表示はつけません。逆に「まろやか」とか、イメージ戦略で本当に大事な情報をかき消します。今回は一歩進んで「表示を読み解く力」の重要性について解説します。
口当たりのよさは砂糖や添加物のおかげ
前回、前々回と「全粒粉パンもどき」や糖質まみれのグラノーラなどを例に、イメージに踊らされず、表示をしっかり見ることの大事さを説明しました。表示をしっかり見てほしいのは調味料でも同様です。
例えば「酢」です。「酢は健康にいい」と信じるあまり、「とにかく酢を摂取しないと」となっている人はいませんか?
酢は、穀物や果実をアルコール発酵させたもので、純米酢、玄米酢、黒酢、バルサミコ酢、ワインビネガー、リンゴ酢などなどが一般的です。いずれにも含まれる「酢酸(さくさん)」という成分が独特のすっぱい味をつくっており、クエン酸やアミノ酸も豊富なことから疲労回復効果が期待できます。
また、肉や魚などをあらかじめ酢に漬けておいてから調理すると、老化促進物質のAGE(終末糖化産物)が低く抑えられることもわかっています。
このように、酢が優れた食品であることは間違いありません。そのため、今は調味料として用いるだけでなく「飲む」人も多くいます。
そのこと自体は悪くないのですが、問題は「どんな酢を飲んでいるか」です。
水で薄めたとしても酢はすっぱいですから、むせてしまったりして飲みやすいとは言えません。そこで、「飲みやすい酢」として、ブドウ糖や蜂蜜などが添加された糖質量の多いものが登場しています。
そういう商品は、「健康にいい」「飲みやすい」「まろやか」ということは強調されているものの、「糖質を添加している」ということは、小さく書かれているだけです。
健康にいい酢を飲んでいるつもりで、気づかぬうちにいらぬ糖質を摂取していないか確認が必要です。
ですから、酢を買うときは、瓶の裏側に貼ってある成分表示をしっかり見てください。甘くて飲みやすい酢は、間違いなく糖質などが添加されているはずです。