われわれが気付いているか否かにかかわらず、リビアにおける米国の権益は攻撃にさらされている。米国の敵も同盟諸国も同様に、独裁者を権力の座に据えようとしている。それは、米国への信頼感を損なうとともに、国際秩序を維持する上での米国の指導力を脅かしつつある。今年秋には、何百人、ないし何千人ものロシアの傭兵が、野心を持つ独裁的指導者のハリファ・ハフタル司令官とともに、リビアの首都トリポリを掌握するための戦いに参加していた。ロシアの関心の主要な対象はリビアではなく、北大西洋条約機構(NATO)だ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、アラブの春、とりわけリビアの指導者ムアマル・カダフィ大佐の死につながったNATOの介入について、自身の独裁政権の未来に対し西側諸国が突きつけた脅威と解釈している。プーチン氏のシリアとリビアへの介入は、不安定な状況にある独裁的な権力者を支援しようとする試みだ。プーチン氏は、新たなカダフィを権力の座に就けることによって、革命が失敗に終わる運命にあること、そして米国やNATOではなくプーチン氏こそが、この地域を実際に動かす陰の実力者であることを示したいと考えている。