マンハッタンの朝の風景金融当局は連続の利下げから転じて、利上げを探る展開になるのか(写真はイメ―ジです) Photo:PIXTA

 先日発表された11月の米国雇用統計は、雇用者数が市場予想を大きく上回って増加、失業率も引き続き歴史的低水準を維持した。

 現在、筆者は米国に滞在しているが、雇用者不足による賃上げ圧力の高まりがうかがえ、早晩インフレ圧力が更に高まる可能性があることを感じている。12月のFOMCにてこれまでの利下げ局面は終了し、今後は利上げ再開時期を探る展開を見込む。

ストの影響を除いても
雇用者数は堅調に拡大

 11月の米国雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月から26.6万人増加し、2019年1月以来の拡大幅となった。2019年に入ってからの月当たりの平均的な増加幅は18万人と、雇用が急拡大した2018年(約22万人/月)には及ばないものの、2017年と同程度の増加ペースを維持している。

 なお、過去分に関しても、9月分は1万人程度下方修正されたが、10月は約3万人上方修正され、雇用の減速懸念は払しょくされた。

 業種別に見ると、製造業が前月差+5.4万人と、減少した10月から増加に転じた。10月はゼネラルモーター社従業員のストにより自動車関連が大幅に減少したが、ストは10月25日に解除が発表され、11月には労働者が就労に戻ったため雇用者数の押し上げにつながった。

 雇用の大半を占める民間サービス部門は同+20.6万人と、10月(同+18.8万人)から増加幅が拡大した。医療で増加幅が拡大したことに加え、情報関連や輸送・倉庫などが全体を押し上げた。