FRBの金融政策は「イバラの道」に差し掛かっている Photo:Federal Reserve

 米国雇用統計は雇用環境の改善継続を示した。さらに、将来の賃上げ加速をもうかがわせる内容で、FRBによる利下げの必要性が低下。他方、金融市場やトランプ大統領は利下げを望んでいる。底堅い雇用・経済環境と利下げ圧力との間でFRBは極めて厳しいかじ取りを迫られている。

6月の米国雇用統計が
払拭した雇用の減速懸念

 2019年6月の米国雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月から22.4万人増加した。3ヵ月移動平均で均して見ても、同+17万人程度と堅調な増加ペースを維持している。先月発表された5月分は1桁台の増加に留まったため、雇用改善ペースに鈍化の懸念が生じたが、それを払しょくしたとみられる。

 業種別に見ると、製造業は前月差+1.7万人と5ヵ月ぶりの増加幅に拡大した。生産調整の続く自動車関連は引き続き軟調に推移したが、電子機器や一般機械製造業などで増加ペースが加速した。

 また、前月の雇用鈍化の主因であった民間サービス部門は、同+15.4万人と再び堅調なペースに復した。前月に大きく伸びが鈍化した医療サービスの社会扶助の回復を始め、輸送や専門サービスなど幅広い分野で雇用の伸びが加速した。

 失業率は3.7%と前月から0.1%pt悪化したが、悪化の要因は労働参加率の上昇(新たに職探しを始めた人の増加)であり、就業者数の伸びは前月から加速しているため、ネガティブに捉える必要はない。労働需給のひっ迫は続いているとみられる。

労働供給の限界が迫り
賃金上昇の可能性も

 こうした労働需給のひっ迫を受け、6月の賃金上昇率は前年比+3.1%と9ヵ月連続で3%を上回り、3%台の伸びが定着している。リーマンショック以降の約10年間は3%を下回る伸びが続いたが、労働需給のひっ迫によって賃金上昇が加速していることがうかがえる。