そういった意味では今回の改正で、現金請求が可能になっただけでも大きな前進です。ただ、認められるには、「付き添い看護を頼まずにすんだ」「介護施設に入居せずに自宅で介護することができた」など、介護や看護をしたことによって、被相続人(義父母など)のお金を使わずにすんだケースや、無報酬かそれに近い状態で介護を続けたなど、お金で計算できるような働きがある場合になります。

 介護をしたほうからすれば、お金を使わずにすんだことよりも、「介護をするのは精神的なストレスが高く、自分の時間を犠牲にして大変だった」といった精神的な負担について、報われないという思いが強いのではないでしょうか。しかし、残念ながら精神的な負担だけでは、認められないこともあるのです。しかも、寄与料を受けるには相続人全員の同意が必要です。ほかの相続人がそれを認めない場合は裁判等になり、時間、お金、労力をかけて戦うことになります。果たして、そうまでして戦ってどれだけもらえるのでしょうか。

 訴える前にきょうだいが寄与料を認めさえすれば、そもそも戦う必要はありません。今までは、お嫁さん側も「お金がほしくて介護をしてきたわけではないから、金銭までは求めません」ということで収まっていたことですが、これからは少し違ってくるかもしれません。

 まだ改正されたばかりなので、実際にどれくらいの人が金銭請求をおこなうかは未知数ですが、いずれにしろ、法律で認められたことは大きな進歩であることは間違いありません。

親の介護で“モメない”ための事前対策

「大切な父親、母親の介護をするのに、なぜ家族でモメてしまうことが多いの?」介護を経験していない方は、このような疑問を持つかもしれません。でも、実際に介護(特に同居で)をした方にしかわからない大変な負担があるのです。介護をしていれば、自分の時間をとられ、行動が制限されてしまうことはもちろん、肉体的な負担、精神的な負担、そして経済的な負担もあります。

 介護には大きく分けて3つあります。それが「身体の介護」「心の介護」「資産の介護」です。「介護」と聞いて、誰もが思い浮かべるのが「身体の介護」でしょう。代表的なものは排泄・入浴・脱衣などの介護です。これはヘルパーさんの助けを求めることができます。さらには、介護施設の援助を受けることもできます。