「人生100年時代」といわれる近年、寿命が延びたことにより、親の介護や認知症事例が増加し、相続に関する状況も変化してきています。今年は約40年ぶりに相続法が改正されましたが、こういった状況も考慮されているようです。しかし、それは法律上であって、実際の相続において、どう対応していけばいいかという点についてはあまりいわれていないのが現状です。そこで今回は、これまでに1万件以上の相続の「現場」を見てきた、税理士法人レガシィの最新刊『「親の介護・認知症」でやってはいけない相続』(青春出版社)から、親が認知症の場合の円満相続のヒントを紹介します。
親が認知症になったら「親のお金」はどうなる!?
医学が発達して寿命が延びてきた半面、新しい問題が出てきました。それが「認知症」の問題です。認知症を会計学的にいうと、心臓の能力(耐用年数)より脳の能力(耐用年数)が早く弱まるようになったということになるでしょうか。
認知症が相続の現場でここまで問題になるとは、20年前まではなかなか想像できませんでした。認知症の兆候があると「預金凍結」され、本人でも預金が引き出せなくなることがあります。預金凍結は、本人が亡くなったあとの話だけではないのです。
2025年には、認知症の人は730万人になるとされ、80歳以上の高齢者の2人に1人は認知症になるといわれています。その規模で預金凍結がされてしまったら、どれだけ大きな影響があるのでしょうか。