中国ではアパート賃貸の方法に創造的破壊を引き起こし、活況の不動産市場で利益を上げようと狙う新興企業がひしめている。
北京や上海などの大都市ではここ数年、不動産価格の急騰を受けて、多くの若い労働者や大学新卒者が賃貸アパート市場に押し寄せている。それを取り仕切るのが「アパート運営会社」だ。アパートの家主と長期リース契約を結び、それを個人にサブリース(転貸)する。典型的なのがリノベーション(改装)や区画分けを行った後に個人に貸し出すやり方だ。中にはアパートをまるごと転貸する場合もある。
このビジネスモデルは米シェアオフィス大手ウィーワークと似ているが、それを住宅に当てはめたものだと、サヴィルズ・チャイナの調査責任者ジェームズ・マクドナルド氏は指摘する。家具なしスペースの複数年リース契約を結び、家具付きの即入居可能な部屋に改装し、その分を上乗せした家賃で転貸するのだ。
もう1つ、ウィーワークと共通するのは、その多くが「テクノロジー企業」を自認していることだ。賃借人やパートナーとの契約をモバイルアプリで管理している点を彼らは主張する。
さらに、アパート運営会社は通常、ローンを手配して賃借人が家賃を払うのを助ける。その資金を貸し出すのは銀行やオンライン金融業者で、12カ月か24カ月の期間を設定する。融資を受けた運営会社はそれで改装費用をカバーし、マーケティングやその他のビジネス上必要な経費をまかなう。賃借人は金融機関にローンを返済するが、通常は無利子だ。アパート運営会社がそのコストを負担し、ローンの保証も引き受ける。
ここにニッチ市場ができた理由の1つは、中国では多くの場合、家賃の支払いが月単位ではなく3カ月単位だからだ。家賃分割ローンは、3カ月分まとめて払うと生活が苦しくなる若者の負担を和らげる。不動産サービス会社コリアーズ・インターナショナル・グループの上海在勤ディレクター、アーウィン・リュウ氏はこう話す。